
生理不順 Irregular Menstrual Cycle
生活習慣の乱れ(過剰なダイエット、ストレス、睡眠不足、アルコールやカフェインの多飲)や卵巣の病気(多嚢胞性卵巣症候群・卵巣腫瘍・早発卵巣不全)、脳下垂体腫瘍、甲状腺機能低下症、薬剤(精神安定剤・抗がん剤・放射線治療)などが原因で月経の周期が早まる頻発月経(月経周期が24日以内)、長くなる希発月経(39日以上)、若しくは月経が来ない無月経(3か月以上)等が起こります。
初めに生理不順の原因について簡単に説明します。
生活習慣の乱れ
ダイエットによる栄養不足、ストレスや睡眠不足によるストレスホルモン(コルチゾール)の上昇、アルコールやカフェインの多飲による中枢神経の刺激などが原因でホルモンバランスが崩れて生理不順が起こる場合があります。
多嚢胞性卵巣症候群
卵巣内で男性ホルモンの分泌量が増加したり、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンと黄体ホルモンのバランスが崩れる事で、排卵が起きにくくなって排卵できなかった卵胞が卵巣内に多数残ってしまう疾患です。
月経周期が長くなったり、不規則になったり、妊娠しずらくなったり、男性ホルモンの影響でニキビができやすくなったり、毛深くなったり、体重が増えたり、声が低くなったり、インスリン結晶や脂質異常、糖尿病、メタボリックシンドローム、心疾患、脂肪感を発病するリスクも高まります。
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
卵巣にできる腫瘍のほぼ80%にあたるのが卵巣嚢腫で、卵巣内に液体や脂肪でできた良性腫瘍です。卵巣嚢腫は初期段階では殆ど自覚症状はありませんが、大きくなると腹囲拡大、下腹部痛、お腹の張り、腰痛を発症したり卵巣捻転を起こすと下腹部の痛み、腰痛、性交痛の他、痛みによる吐き気・嘔吐がみられることがあります。
早発卵巣不全
自己免疫疾患(甲状腺機能異常・糖尿病・全身性エリテマトーシス)、卵巣腫瘍、ガラクトース血症、卵胞刺激ホルモン受容体異常などが原因で無月経になり、不妊、更年期障害の諸症状(ほてり、のぼせ、発汗、動悸、めまい、イライラ、うつ、不安、不眠、)などを発症したり骨粗鬆症のリスクが高まります。
脳下垂体腫瘍
下垂体は脳の最下部に位置する1cm程の小さな器官で、体の成長や代謝、生殖機能などを調整するホルモン(骨や筋肉の成長を促進する成長ホルモン:GH、代謝を調整する甲状腺刺激ホルモン:TSH、ストレスの対応や血圧を調整する副腎皮質刺激ホルモン:ACTH、卵巣内の原子卵胞の成長を促進する卵胞刺激ホルモン:FSHや排卵を誘発する黄体形成ホルモンLH、乳腺を発達させるプロラクチン、ナトリウムの吸収を促進して血圧を上げるバソプレシン、子宮収縮と分娩を促すオキシトシンなど)を分泌する重要な器官です。脳下垂体腫瘍はその下垂体にできる腫瘍の総称で、腫瘍ができる原因は分かっていません。
脳下垂体腫瘍の中でも発生頻度が高い脳下垂体腺腫はホルモン分泌細胞が異状に増える機能性下垂体腺腫と、ホルモン分泌細胞以外の細胞が増える非機能性下垂体腺腫に分けられます。
機能性下垂体腺腫では大きくなった下垂体が視神経を圧迫することで視野が狭くなったり、成長ホルモンの過剰産生によって手足や顔が大きくなったり(アクロメガリー)、プロラクチンの過剰産生によって乳汁の生産が活発になったり無月経になったり、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰産生によってクッシング病(副腎皮質ホルモンのコルチゾールが過剰分泌される事によって満月様顔貌、中心性肥満、高血圧など)を発病したり、甲状腺刺激ホルモンの過剰産生によって代謝が過剰に上がって、動悸、息切れ、多汗などを発症します。
非機能性下垂体腺腫でも視神経の圧迫によって視野が狭くなったり、頭痛、倦怠感、食欲不振や性欲低下などがみられます。
甲状腺機能低下症
橋本病(免疫異常が原因で免疫細胞が自己の甲状腺を攻撃して炎症を起こす慢性甲状腺炎)、ヨウ素不足、脳下垂体の異常などが原因で甲状腺ホルモンの分泌が減少し、疲労感、むくみ、寒気、便秘、体重増、脱毛、乾燥、生理不順、抑うつ、倦怠感、無気力感などを発症します。
薬剤(精神安定剤・抗がん剤・放射線治療)による副作用
精神薬ではプロラクチンが高くなって排卵が止まったり、抗がん剤や放射線治療では卵巣機能が低下して排卵が止まったり、月経不順になる場合があります。
生理不順の一般的な治療は・・・
生活習慣の乱れが原因の場合はバランスのよい食生活、十分な睡眠、適度な運動が指導されます。
多嚢胞性卵巣症候群では、ホルモン療法や排卵誘発剤などが行われます。
卵巣腫瘍では手術、抗がん剤、放射線治療などが行われます。
早発卵巣不全では、ホルモン療法や原因に対する治療が行われます。
脳下垂体腫瘍では、手術、薬物、放射線治療が行われます。
甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモン薬の投与が行われます。
薬剤(精神安定剤・抗がん剤・放射線治療)による副作用では、薬剤や治療法の変更などが考慮されます。
カイロプラクティックでは、
カイロプラクティックでは、月経周期やホルモン分泌に影響を与える神経の働きに着目します。
私たちの脳(視床下部)は卵巣や子宮の状況を24時間絶え間なく監視し、その変化に対応すべく下垂体に向けて性腺刺激ホルモン放出ホルモン:GnRHを放出したり、自律神経(交感神経と副交感神経)を介して卵巣や子宮の働きを制御しています。
脳が卵巣や子宮内の状況を正確に把握出来ていれば、適切なホルモンが、適切なタイミングで適切な量だけ分泌される様プログラムされています。
しかし何らかの原因で脳が卵巣や子宮内の状況を正確に把握出来なくなると、分泌されるホルモンや分泌のタイミング、分泌量に狂いが生じる可能性があります。
その原因が背骨の歪みです。
卵巣や子宮内の情報を脳へ伝える骨盤神経も、脳からの指令を卵巣や子宮へ伝える自律神経もどちらも背骨を通ります。
もし背骨に歪みが生じると、神経に障害が起こって卵巣や子宮の情報が正確に脳へ伝わらなくなったり、脳からの指令が正確に卵巣や子宮へ伝わらなくなってホルモン分泌に悪影響が及ぶ可能性があります。
それが生理不順を初めとする様々な不調です。
カイロプラクティックでは、背骨の歪みを整える事で神経障害を取り除き、月経周期やホルモン分泌過程の正常化を図ります。