眼精疲労 Eye Fatigue

近年、パソコンやスマートフォンの急速な普及によってデジタル機器を取り扱う時間が幅広い年齢層で長くなっています。液晶画面に集中する作業を長時間続けた後に現れる目の疲れ、痛み、かすみ、充血などの症状のことを眼疲労と呼びますが、通常は休息をとれば回復します。

しかし休息をとっても症状が改善しなかったり、目の症状以外に頭痛や肩凝り、吐き気を伴う場合、眼精疲労と呼ばれます。

眼精疲労の原因はさまざまで、遠視、近視、乱視などの屈折異常や老眼、白内障、緑内障、高血圧、貧血、自律神経失調症でも発症する事があります。

 

眼精疲労の一般的な治療は・・・

眼精疲労に対する一般的なアプローチは原因にもよりますが、点眼液や休息、マッサージ、眼鏡やコンタクトレンズによる視力矯正等になります。

しかし私たちの視力に影響を与える自律神経に対するケアは案外見過ごされがちです。

 

カイロプラクティックでは・・・

カイロプラクティックでは視覚の働きに影響を与える自律神経に着目します。

私たちの視覚を司っているのは眼球です。

外界の光は眼球の角膜から水晶体、そして網膜の順に進み、網膜の視細胞で光が電気信号に変換され、それが視神経を介して脳へ伝わって色や形、動きが情報処理されます。

この光が眼球を通過する過程で目のピントを調整してくれているのが自律神経です。私たちが近くの物を見る時は自律神経が毛様体筋を収縮させて水晶体を厚くし、光を強く屈折させて近くの物の像を網膜に結びます。

逆に遠くの物を見る時は、毛様体筋を弛緩させて水晶体を薄くし、光をあまり屈折させずに遠くの物の像を網膜に結びます。

長時間、パソコン作業をしたり不良姿勢をとって背骨に歪みが生じると背骨や首/肩の筋肉に負担が掛かるだけでなく、背骨を通る自律神経にも神経障害が起こります。

自律神経の働きが妨げられると目のピント調整が上手く出来なくなったり、涙液の分泌や目、脳の血行が悪くなります。

これらの結果、目の疲れやかすみ、充血や乾燥、そして頭痛や肩凝り、吐き気などを引き起こします。

カイロプラクティックでは、背骨の歪みを整える事で背骨や首/肩の筋肉の負担を取り除き、自律神経の働きを正常化して症状の根本的な改善を図ります

 

症例1 施術後に視界が明るく、鮮明になった!

患者:40代 女性 調理師 M.M.さん

主訴:首の痛み、肩凝り、目の疲れ

 

検査結果:視診にて頚椎の前方変位(ストレートネック)と胸椎の後方変位(猫背)を確認。 頸椎の可動域検査では左右の回旋と伸展方向に制限が認められた。

 

治療内容:頚椎(C1~7)の前方変位を改善すべく前方から後方(A⇒P)へ、上部胸椎(T1~4)の後方変位を改善すべく後方から前方(P⇒A)へ施術(モビリゼーション)を行った。

 

治療後:頚椎の左右の回旋と伸展方向への可動域は大きく改善した。首の痛みが軽減し、肩も軽くなり、視界が明るく鮮明になったと驚かれた。

定期的な姿勢改善ストレッチの処方に加え、仕事以外で長時間の下向き姿勢(スマホ操作や読書など)を回避する様アドバイスし、一週間後に再検査を行う事を伝えて終了した。 

一週間後の再診時では首の痛みや肩凝りはほぼ気にならなくなり、目の疲れも以前より軽減したと喜ばれた。来院から約一か月後(来院4回目)には首の痛みや肩凝り、目の疲れもほぼ解消したとの事だった。

症状改善後は月に一回程度メンテナンスケアを継続し、仕事の後に多少の肩凝りは気になる事があるが以前ほど酷くはなく、首の痛みや目の疲労に関してはほぼ気にすることなく過ごせている。

 

考察:長時間職場で下を向いて調理作業に従事することで頚椎や胸椎の背骨や周りの筋肉に慢性的な負荷が掛かり、更に背骨を通る自律神経にも障害が起こっていた事で首の痛みや肩凝り、眼精疲労を発症していたと推測される。施術によって背骨の歪みが整った事で背骨や首/肩の筋肉の負担が軽減し、更に自律神経の働きも正常化して症状が改善したと考えられる。