耳鳴り / 難聴 Tinnitus / Hearing Loss

耳鳴りは周りに音の発生源はないのに「キーン」という高い音や「ゴー」という低い音が聞こえる症状で、国民の10人に1人が耳鳴りに悩まされているというデータもあります。昼間はあまり気にならないが夜静かになると音が気になって寝ずらいと訴えるケースが多いです。

又、音や人の声が聞き取りづらくなる難聴は年齢を重ねると「耳が遠くなる」というイメージがありますが、実は病気が潜んでいる場合も。耳が聞こえなくなると人とのコミュニケーションに難しくなるだけでなく、家族や周りの人達にも影響が及びます。

始めに、耳鳴りや難聴の種類と原因を簡単に説明します。

 

音響外傷/騒音性難聴

イヤホンやヘッドホン、ライブやコンサート会場等の密閉空間でスピーカーから長時間、大音量の音を聴いたり、工事現場や音楽関係者が大きな音を長期間に渡って聞き続けることで内耳(蝸牛内の有毛細胞)が損傷を受け、音が聞こえにくくなったり耳鳴りを発症します。

 

ストレスや疲労、睡眠不足による自律神経の乱れ

自律神経が乱れる事で内耳(蝸牛)の血液供給や代謝が不安定になって耳鳴りが発生します。

 

突発性難聴

ストレスやウイルス感染、気圧の変化によって内耳の血行障害が起こり、ある日突然片方の耳が聞こえなくなる難病です。ストレスが掛かりやすい30~60代の現役世代や高血圧や糖尿病の持病をもっている方に多く、難聴以外にも耳が詰まった感じ(耳閉感)や耳鳴り、目眩や吐き気を伴うこともあります

発症から二週間以内の治療開始が有効です。

 

老人性難聴

加齢によって内耳(蝸牛)の音を感知する有毛細胞が減少していくことで音が聞き取りにくくなります。65歳以降に増加し、85歳では80~90%の方が老人性難聴だと言われています。

 

メニエール病

内耳にリンパ液が過剰に貯まる(内リンパ水腫)ことでグルグル回る目眩や耳鳴り、耳閉感、難聴等の症状を発症します。

 

中耳炎

中耳のウイルス感染によって耳の痛みや発熱、難聴や耳鳴りを発症することもあります。

 

耳鳴りの一般的な治療は・・・

耳鳴りに対する一般的なアプローチは原因に応じて異なりますが、運動や睡眠の生活習慣の改善に加え、ビタミン剤や循環改善薬、抗不安薬やステロイド薬などの薬物療法が基本になります。難聴を伴う場合は補聴器の使用も考慮されます。

処方薬で改善が見られる場合もありますが、改善が見られない事も少なくありません。

 

カイロプラクティックでは・・・

カイロプラクティックでは聴覚の働きに影響を与える自律神経に着目します。

私たちの聴覚を司っているのが外耳(耳介と外耳道)、中耳(鼓膜と耳小骨)、内耳(蝸牛とコルチ器)の器官です。外耳で集められた音は中耳へ空気の振動として伝わり、その振動がリンパ液で満たされた内耳で電気信号に変換されて神経(蝸牛神経)を介して脳(脳幹)へ伝わります。

これら聴覚の器官が正常に機能する為には酸素や栄養が必要で、脳内の血流を調整しているのが自律神経です。

背骨に歪みが生じると、背骨を通る自律神経に神経障害が起こります。

自律神経の働きが妨げられると脳内の血流が不安定になって、音を伝達・感知する器官が正常に機能しなくなります。カイロプラクティックでは背骨の歪みを整えることで自律神経の働きを正常化して症状の根本的な改善を図ります。

 

症例1 夜、静かになると気になっていた耳鳴りが改善!

患者:50代 女性 事務職 M.S.さん

主訴:最近、夜静かになると耳鳴りが気になって寝つきが悪い。時折、目眩も発症していたので耳鼻科を受診したが特に聴覚にも問題はなく目眩止めの薬を処方されたがあまり効き目を感じなかった。慢性の肩凝りや頭痛もあったので当院を受診した。

 

検査結果:視診にて頚椎の軽度前方変位(ストレートネック)と胸椎の後方変位(猫背)を確認。

頸椎可動域検査では伸展方向に制限が認められた。

 

治療内容:頚椎(C1~7)の前方変位を改善すべく前方から後方(A⇒P)へ、上部胸椎(T1~4)の後方変位を改善すべく後方から前方(P⇒A)へ軽い施術(モビリゼーション)を行った。

 

治療後:頚椎の伸展方向の可動域が改善した。 定期的な姿勢改善ストレッチに加え、通勤時のイヤホン使用やスマホ操作時の下向き姿勢を回避する様アドバイスし、一週間後に再検査を行う事を伝えて終了した。一週間後の再診時では肩凝りや頭痛、目眩は軽減したものの、耳鳴りは継続しているとの事だった。 その後は週に一回程度施術を継続し、来院から約一か月後(来院4回目)には肩凝り、頭痛、目眩の症状はほぼ解消し、夜間の耳鳴りも気にせず寝られる様になったと喜ばれた。

症状改善後は月に一回程度メンテナンスケアを継続し、仕事が忙しい時は多少肩凝りや頭が重く感じる事はあるものの目眩や耳鳴りも気にすること無く過ごせる様になり、通勤時のウォーキングや食生活も意識するようになって以前より健康的な生活が習慣化してきた。

 

考察:事務職で長時間パソコン業務や記帳作業で下を向く時間が長いことで背骨や首/肩の筋肉に慢性的な負担が掛かり、更に背骨を通る自律神経にも神経障害が起きて脳の血流が低下した事で頭痛や肩凝り、目眩や耳鳴りを発症していたと推測される。

施術によって背骨の歪みが整った事で背骨や首/肩の筋肉の負担が軽減し、自律神経や脳内の血流が正常化した事で症状が改善したと考えられる。

症状が改善された事で気持ちも前向きになり、健康的な生活習慣を意識出来るようになった。