
顎関節症 TMJ Disorder
顎関節症は口を開けると痛みがある(開口時痛)、口を開けるとコリコリ音がする(関節雑音)、口を大きく開けられない(開口障害)等の顎の障害です。
顎関節症の原因は歯のかみ合わせの問題、歯ぎしりやくいしばり、顎関節への外傷、精神的なストレス、顎の使い過ぎ(楽器演奏やガム)等と考えられていますが実は姿勢や背骨の歪みも顎関節の働きに大きな影響を及ぼします。
顎関節症の一般的な治療は・・・
顎関節症に対する一般的なアプローチは硬い食べ物を控えたり、ストレスの軽減、マッサージ、鎮痛薬や筋弛緩薬、マウスピース等の装具等になります。
ただ、顎関節の働きに大きな影響を及ぼす姿勢や背骨の歪みに関しては歯科や口腔外科でも見過ごされがちです。
カイロプラクティックでは・・・
カイロプラクティックでは顎関節の働きに影響を及ぼす背骨に着目します。
顎関節は頭蓋骨と下顎骨(下あご)の間の関節で、頭蓋骨に付着する咀嚼筋群が下顎骨を支え、食事や会話の際は動かしています。
口を開ける(開口)際は重力と共に開口筋(外側翼突筋と舌骨上筋群)が働き、口を閉じる(閉口)際は側頭筋、咬筋、内側翼突筋が働きます。
左右の顎関節が正常に機能するには、これらの筋肉群が左右バランスよく筋収縮を行う必要があり、その為には頭や舌骨の位置、そして背骨の配列(生理弯曲)が非常に重要になります。
背骨に本来の生理弯曲が保たれていれば頭位は背骨の真上にあり、首/肩の筋肉には負担が掛からず、咀嚼(食べ物を噛む)や嚥下(飲み込む)の際に機能する筋肉群は適度なトーンを維持し、正常に機能することが出来ます。
しかし背骨に歪みが生じると背骨や首/肩の筋肉に負担が掛かり、更に顎や喉を動かす筋肉の正常な筋収縮が妨げられ、「口を開けずらい」、「口を開けるとコリコリ音がする」、「口を開けると痛い」等の顎関節症や「食べ物を飲み込みずらい」、「よくむせる」等の嚥下障害を発症します。
カイロプラクティックでは背骨の歪みを整えることで背骨や首/肩の筋肉の負担を取り除き、咀嚼や嚥下に必要な筋バランスを正常化して症状の根本的な改善を図ります。
症例1 食事の際にきになっていた右顎のコリコリ音が消失!
患者:70代 男性 会社役員 M.W.さん
主訴:二週間程前から食事の際に右顎からコリコリ音がして気になるようになった。慢性の肩凝りもある。
検査結果:視診にて頚椎の軽度前方変位(ストレートネック)と胸椎の後方変位(猫背)を確認(写真)。 顎の可動域検査で開口時、及び左右のグライド時に右顎にコリコリ音を確認。頸椎の可動域検査では右回旋と左回旋、伸展方向に制限が認められた。
施術内容:頚椎(C1~7)の前方変位を改善すべく前方から後方(A⇒P)へ、上部胸椎(T1~4)の後方変位を改善すべく後方から前方(P⇒A)へ施術(モビリゼーション)を行った。(顎関節へのアプローチは無し。)
施術後:頚椎の右回旋、左回旋の可動域が改善し、開口時の右顎の異音は若干残るものの少し開けやすくなったとの事。 正しい座位姿勢に加え、定期的な姿勢改善ストレッチをアドバイスし、一週間後に再検査を行う事をお伝えして終了した。 一週間後の再診時では右顎の異音が気にならなくなり、肩凝りもかなり改善したと喜ばれた。来院から約一か月後(来院3回目)には顎の異音や肩凝りも解消したとの事だった。
症状改善後は月に一回程度メンテナンスケアを継続し顎のコリコリ音も肩凝りを再発する事無く生活に支障が無く過ごせている。
考察:長年、職場でパソコン業務が多い事で頚椎や胸椎の背骨に歪みが生じ、顎を動かす筋バランスが崩れた事で顎関節症を発症していた推測される。
施術によって背骨の歪みが整った事で顎を動かす筋肉の筋バランスが正常化し、症状が改善したと考えられる。