慢性疲労 Chronic Fatigue

慢性疲労の一般的な原因は睡眠不足や長時間労働、ストレス等が考えられますが、他の病気が潜んでいる場合があります。

初めに慢性疲労を生じる病気について簡単に説明します。

 

貧血

血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの主成分は鉄であり、体内に酸素を届ける役割を担っています。鉄分の摂取不足や妊娠、授乳、過多月経や消化管からの出血などが原因で赤血球のヘモグロビンの量が少なくなると体内の酸素が欠乏してめまいやたちくらみ、頭痛や息切れ、倦怠感や疲労感、寝起きが悪い、顔色が悪いなどを発症します

 

睡眠時無呼吸症候群

肥満、うまれつきの舌や扁桃が大きい、顎が小さい、鼻炎などが原因で上気道が狭くなる閉塞性睡眠時無呼吸と脳の呼吸中枢の異常が原因で正常な呼吸ができなくなる中枢性睡眠時無呼吸があります。どちらも睡眠時に大きないびきと無呼吸を繰り返し、体内の酸素が欠乏することで日中の眠気、倦怠感、集中力の低下、早朝の頭痛などを発症します高血圧、脳卒中、心筋梗塞が起こすリスクが正常な方に比べて3~4倍高まるといわれています。

 

甲状腺機能低下症

橋本病(免疫異常が原因で免疫細胞が自己の甲状腺を攻撃して炎症を起こす慢性甲状腺炎)、ヨウ素不足、脳下垂体の異常などが原因で甲状腺ホルモンの分泌が減少し、疲労感、むくみ、寒気、便秘、体重増、脱毛、乾燥、生理不順、抑うつ、倦怠感、無気力感などを発症します

 

糖尿病

糖分過多の食生活、運動不足、遺伝、免疫異常、妊娠などが原因で血中血糖値が高くなり、喉の渇き、頻尿、尿の泡立ち、食欲増進、疲労感、体重減少、視力低下、手足のしびれやむくみ、傷が治りにくい、性欲減退、勃起不全などの症状を引き起こしたり、酷くなると失明、腎不全、足の壊疽、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を引き起こします。

 

うつ病

明確な原因は分かっていませんが、長期間ストレスに曝された事で生じるコルチゾールホルモンの過剰分泌、甲状腺機能低下症、更年期障害等、ステロイド薬や降圧剤の長期使用(セロトニンやドーパミンの機能低下)などが原因で強い悲しみや気分の落ち込み、意欲や喜びの低下、不眠や食欲の低下、頭痛などを発症します。

 

慢性疲労症候群

ストレスによる免疫異常で体内のウイルスが活性化し、発熱時の様な身体のだるさや微熱、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、リンパの腫れ等を発症します

PS基準を使って診断が下されます。

 

悪性腫瘍

遺伝子が傷つく事で異常な細胞が生産、増殖される病気です。骨や筋肉、皮膚や血液など体内のどこにでも出来る可能性があり、周りの組織を破壊しながら大きくなって体内の血液やリンパ液を伝って他の部位へ移動し成長を続けます(転移)。始めは無症状でも癌細胞が大きくなるにつれて体力低下や体重減少、食欲や体力の低下、免疫力の低下などを引き起こします。

喫煙や飲酒、野菜や果物の摂取不足、塩分や加工肉の過剰摂取などは癌の羅漢リスクを高めます。

 

慢性疲労の一般的な治療は・・・

貧血の治療では鉄剤の内服や食事療法などが行われます。

睡眠時無呼吸症候群では睡眠時にマスクを装着して強制的に気道を広げる経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)やマウスピースの使用、気道を広げる手術等が行われます。

甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモン薬の投与が行われます。

糖尿病では食事・運動療法が基本になります。それで改善出来ない場合は糖尿病薬やインスリン療法になります。

うつ病では心の休養をとったり仕事量を削減した上で、必要に応じて抗うつ剤、睡眠薬、抗不安薬などが処方されます。

慢性疲労症候群では漢方薬、ビタミン剤、安定剤に加えて精神療法などが行われます。

悪性腫瘍の治療は手術、薬物療法、放射線治療などが行われます。

 

カイロプラクテックでは

慢性疲労の原因は様々ですが、カイロプラクテックでは身体の代謝を制御する自律神経の働きに着目します。

私たちの身体には環境や体内の状況に応じて体の代謝を自動調節する仕組みが備わっていて、それを自律神経と言います。

自律神経には交感神経と副交感神経からなり、私たちがストレスを感じたり、緊張している時には交感神経が優位に、リラックスしている時には副交感神経が優位になります。

私たちがストレスを感じると、交感神経が活発に働いて副腎(皮質)からコルチゾールと呼ばれるホルモンが分泌されます。コルチゾールは、ストレスに対処する為に肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解してエネルギー(グルコース)を生産したり(糖新生)、脳や筋肉に血液を届ける為に腎臓の血管を収縮させて血圧を上げたり(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)、炎症を抑える為に免疫細胞の活動を抑制する等の働きがあります。

副腎から分泌されるコルチゾールの量は環境や体内の状態に応じて自律神経が調節していて、適切な量のコルチゾールが分泌される為には身体の情報が正確に脳へ伝わり、そして脳の指令が正確に副腎に伝わる必要があります。

この情報と指令の伝達は全て背骨を通る神経を介して行われます。

もし背骨に歪みが生じると、背骨を通る神経に障害が起こって感覚器からの情報が正確に脳に伝わらなくなったり、脳からの指令が正確に副腎に伝わらずに適切な量のホルモンが分泌されなくなる可能性があります。

それが、あなたの身体に現れた疲労感を始めとする様々な不調。

カイロプラクティックではそんな背骨の歪みを整える事で、神経障害を取り除き、あなたの身体の自律神経の働きの正常化を図ります。