便秘 Constipation

便秘は、本来排出すべき便を排出できなくなる状態のことで、排便回数が少ない、便が硬い、便が排出できない等の症状を便秘症と言い、これらの症状が三か月以上続くことを慢性便秘症と呼びます。

便秘の原因の多くは生活習慣の乱れ(水分や食物繊維の摂取不足・運動不足・ストレスなど)ですが、薬の副作用、他の病気(甲状腺機能低下症・潰瘍性大腸炎IBS・大腸がん・巨大結腸症・直腸瘤など)が潜んでいる場合があります。

初めに便秘の原因について簡単に説明します。

 

水分や食物繊維の摂取不足

便の80%は水分です。水分の摂取が不足すると便は硬くなります。食物繊維(野菜・果物・豆腐・海藻・きのこ類など)は便に水分を与えてかさを増したり、腸内細菌のエサになります。食物繊維の摂取が少ないと、便が硬くなったり腸内環境が乱れて便秘を起こしやすくなります。

 

運動不足

運動不足によって腸の動き(蠕動運動)が悪くなって便が長時間腸に停滞したり、腹筋の力が弱くなって便を押し出す力が弱くなって便秘を起こしやすくなります。

 

ストレス

腸の働きは自律神経によって制御されていて、交感神経が優位な時(緊張したり、ストレスを感じた時)は抑制され、副交感神経が優位な時(リラックスしたり、緊張から解放された時)に活発になります。

慢性的なストレスによって交感神経が優位な時間が続くと、腸の働きが抑制されて便秘になりやすくなります。

 

薬の副作用

一部の降圧剤や精神疾患の薬などでは便秘を起こす場合があります。

 

甲状腺機能低下症

免疫異常が原因で免疫細胞が自己の甲状腺を攻撃して炎症を起こす慢性甲状腺炎(橋本病)、ヨウ素不足、脳下垂体の異常による甲状腺ホルモンの分泌の減少などが原因で疲労感、むくみ、寒気、便秘、体重増、脱毛、乾燥、生理不順、抑うつ、倦怠感、無気力感などを発症します

 

潰瘍性大腸炎

はっきりとした原因は不明ですが、免疫機能の過剰反応によって大腸の粘膜に炎症が起こってただれ、びらん、潰瘍ができる難病です。発熱、腹痛、血便、下痢、貧血、体重減少などを発症する時期と治まる時期とを繰り返します。

 

大腸がん・ポリープ

運動不足、偏った食生活、肥満、アルコールの多飲、喫煙などの生活習慣の乱れが原因で大腸(特にS状結腸や直腸)にポリープや腫瘍が出来て、始めは無症状ですが、腫瘍が大きくなると血便や腹痛、腹部膨満感や便通異状(下痢や便秘)などを発症します。

 

便秘の一般的な治療は・・・

生活習慣の乱れが原因であれば適量の水分(1.5~2L/日)や食物繊維の摂取、適度な運動、ストレス管理などが基本です。

甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモン薬の投与が行われます。

潰瘍性大腸炎では炎症を抑える抗炎症薬や免疫抑制薬などが使用されます。

大腸がん・ポリープでは内視鏡、開腹、腹腔鏡下での切除手術や化学療法や放射線療法が行われます。

 

カイロプラクティックでは

便秘の原因は様々ですが、カイロプラクティックでは消化器の働きを制御する自律神経の働きに着目します。

自律神経は私たちの身体の働きを24時間絶え間なく制御してくれている神経で、その中枢は脳(視床下部)にあります。

脳(視床下部)は何らかのストレスを感じたり身体を活発に動かす必要がある時は交感神経を優位に、逆に緊張から解放されたり身体を休める時は副交感神経を優位にします。

消化器(唾液腺、食道、胃、膵臓、肝臓、小腸、大腸など)の働きは交感神経が優位な時は抑制され、副交感神経が優位な時に活発になります。

脳(視床下部)がバランスよく自律神経(交感神経と副交感神経)を制御できていれば各消化器が食べ物を円滑に消化/吸収し、便秘も下痢も起こる事はありません。しかし何らかの原因で交感神経が優位になり過ぎると消化器の働きが過剰に抑制されて便秘に、逆に副交感神経が優位になり過ぎると消化器の働きが過剰に活発になって下痢を起こします。

脳(視床下部)が交感神経と副交感神経のバランスを上手く保つ為には身体の情報が正確に脳(視床下部)へ伝わり、そして脳の指令が正確に各消化器官に伝わる必要があります。

この身体の感覚器からの情報と脳からの指令の伝達は全て背骨を通る神経を介して行われます。

もし背骨に歪みが生じると、背骨を通る神経に障害が起こって感覚器からの情報が正確に脳に伝わらなくなったり、脳からの指令が正確に各消化器官に伝わらなくなって便秘や下痢を発症する可能性があります。

カイロプラクティックではそんな背骨の歪みを整える事で、神経障害を取り除き、あなたの身体の自律神経の働きの正常化を図ります。