イライラ

イライラとは物事が想い通りにいかなかったり、不快なことがあったりして気持ちが高ぶって苛立っている状態の事で、通常は一過性のもので状況の変化や時間の経過と共に解消します。ただホルモンバランスの乱れや精神疾患によってイライラを発症する場合があります。

 

月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)は、月経開始3~10日程前に(黄体期)身体や精神に現れる様々な症状のことで、月経が始まるとそれらの症状は治まります。

月経のある女性の8割の方が経験すると言われていて、身体に現れる症状としては乳房の張り・痛み、腹部膨満感、頭痛、関節痛、体重増加、むくみ等で、精神に現れる症状は気分の落ち込み、怒りっぽい、いらだち、不安、混乱、ひきこもり等です。但し、精神症状が酷く、日常生活に影響が出ている場合は精神疾患(月経前不快気分障害:PMDD)の疑いが有ります。

月経前症候群の原因ははっきりとは分かっていませんが、月経前の女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。女性ホルモンのエストロゲンは生殖器の発達、精神安定、基礎代謝の向上、カルシウム吸収やコラーゲン生成の促進等、善玉コレステロールを増やすなどの役割以外にも、脳内のセロトニンホルモンの分泌を促進します。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれており、情緒安定、食欲/性欲の抑制、痛みの軽減等の役割を果たします。

エストロゲンが減少するとセロトニンも減少し、情緒不安定やイライラを発症しやすくなります。

 

更年期障害(男性/女性) 

更年期(40歳後半から50歳前半)の女性が閉経によって卵巣の働きが低下して卵巣ホルモン(エストロゲン)の分泌が少なくなると、その分泌を促す卵胞刺激ホルモンが脳(下垂体)から過剰に分泌され、自律神経が乱れやすくなります。その結果、交感神経が優位になり、ほてり、のぼせ、発汗、動悸、肩凝り、高血圧や精神不安定など症状や骨粗しょう症が進行したり、血中コレステロールも上昇します

男性でも40代以降で加齢やストレス等が原因で男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減り、ほてり、のぼせ、多汗、動悸、息切れ、疲労感、めまい、吐き気、疲れやすい等の身体症状や気分が沈む、おこり易い、不安、記憶力や集中力の低下、不眠などの精神書状がみられます

 

双極性障害

原因ははっきり解明されていませんが、遺伝的な要因と脳内の神経伝達物質の異状によって躁(そう)状態と鬱(うつ)状態を繰り返す精神疾患です。

躁状態では気分の効用や活力の向上、衝動的な行動の増加がみられ、鬱状態では気分の落ち込みややる気の低下、睡眠障害や食欲の低下がみられます

 

統合失調症

遺伝的な要因や神経伝達物質の異状によって脳機能障害がおこって幻覚、妄想、思考の混乱などの陽性症状、無気力、無感情、引きこもり等の陰性症状、記憶力、判断力、注意力の低下等の認知機能障害などがみられます

 

依存症

特定の物質(アルコール、タバコ、薬物など)や行動(ギャンブル、ゲーム、インターネット等)に強い欲求を感じ、それを止められない状態です。特定の物質によって脳内で快感を求める行動が強化され、効果を得るのに依存頻度や量が増えたり、中止すると不安、不眠、震えなどの身体症状や抑うつやイライラなどの精神症状が現れます。

 

発達障害

生まれつきの脳障害が原因で言葉の発達が遅い、対人関係を上手く築けない、特定分野の勉強が苦手、落ち着きがない、集団生活が苦手などの症状を発症する精神疾患の総称です。

発達障害の中で最も発症率が高いのが自閉症スペクトラム障害(自閉症)で、他者とのコミュニケーションが苦手、こだわりが強い、融通が利かない等の症状が幼児期から現れます。

注意欠陥多動性障害は、注意力が散漫で、衝動的な行動をとったり、授業中に座っていられずに歩き回ったり、集団行動に支障が現れます。

学習障害では知的水準は低くないものの、読む・書く・計算などの特定分野が低いのが特徴です。

 

認知症

脳の病気や障害で、記憶力や判断力、認知機能が低下して日常生活に支障が出る病気の総称で、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があります。最近の出来事を覚えられなくなったり、同じことを何度も聞いたり、物の名前が出てこなかったり、話がまとまらなかったり、複雑な事が理解出来なくなったり、計画を立てて行動できなくなったり、落ち着きがなくなったりします。

 

イライラの一般的な治療は

原因によって異なりますが、月経前症候群(PMS)では鎮痛薬や利尿薬、抗不安薬、抗うつ薬、エストロゲンとプロゲステロンを含む低用量経口避妊薬などの薬物療法が行われます。更年期障害ではホルモン補充療法(HRT)や漢方薬を使った治療が行われます。

双極性障害では安定薬や抗うつ薬、抗精神薬、認知行動療法が行われます。

統合失調症では抗精神病薬、認知行動療法などが行われます。

依存症では薬物療法や認知行動療法、自助グループでの治療が行われます。

発達障害では精神刺激薬や睡眠剤、抗うつ薬、日常生活で症状をカバーする習慣を身に付ける療育などが行われます。

認知症では薬物療法、心理療法、リハビリテーションが行われます。

 

カイロプラクティックでは

カイロプラクティックでは、感情を制御するホルモン(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、オキシトシン、コルチゾールなど)分泌に影響を与える神経の働きに着目します。

私たちの感情は脳から分泌される様々なホルモンによって制御されています。

セロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、主に光の刺激によって脳(縫線核)から分泌され、気分の安定や体内時計の調整、痛みや食欲の抑制などの働きがあります。

ドーパミンは快感ホルモンと呼ばれ、嬉しい事や楽しい経験をした際に脳(黒質/腹側被蓋野)から分泌され、意欲や集中力を高めたり運動機能の制御などの働きがあります。ノルアドレナリンはストレスを感じたり興奮した時に脳(青斑核)から分泌されるホルモンで脳の覚醒やストレスへの抵抗力を強化したり、記憶の促進などの働きがあります。オキシトシンは愛撫や抱擁、授乳などのスキンシップによって脳(下垂体)から分泌され幸福感や安心感をもたらします。コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれ、精神的、物理的なストレスによって副腎皮質から分泌され、血糖値、血圧、心拍上昇や攻撃性を高めるなどの働きがあります。

これらのホルモンは私たちの体の各感覚器(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚など)からの情報が神経を介して脳へ届けられ、その刺激を基に各器官からホルモンが分泌されます。

私たちの体は正確な情報が脳へ届けば、適切なホルモンが適切なタイミングで適切な量だけ分泌されるようプログラムされています。

もし背骨に歪みが生じると、背骨を通る神経に神経障害が起きて体の各感覚器からの情報が正確に脳へ届かなくなり、感情を制御するホルモン分泌に悪影響が及ぶ可能性があります。

カイロプラクティックでは、背骨の歪みを整える事で神経障害を取り除き、感情の安定化を図ります。